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大阪で働く法務パーソンのはなし

新規取引先調査

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トラブルが生じたとき、時系列を整理するのは法務の「きほんのき」。取引先とのトラブルがあったときには、どういう経緯で取引を開始したかを調べることがありますが、新しい取引先と取引を開始するとき、どのようなルールを敷いていらっしゃるでしょうか?

信用調査だけでOK?

新規取引先と取引を開始するとき、「新規取引先登録申請書」みたいなフォーマットを経理などの関係部署に回すルールがある会社さんは多いと思います。そして、その申請にあたっては、会社案内や取引口座番号のほか、帝国データバンク東京商工リサーチのような企業信用調査会社からのレポートを参考資料として添付されているのではないでしょうか。

調査会社のレポートには、会社の業績や主要取引先、代表者の略歴・資質や資産状況を含めた経営・財務状況が記されています。そして、調査会社が独自につけた評点を参考に与信額を設定しているという会社さんもあるようです。ちょっと余談ですが、我が社の経験上、この評点で最低ランクになった企業のほとんどは、早晩廃業・破産されており、少なくとも最低ランクの評点の信憑性は残念ながら?かなり高いです。。

ところで、新規取引先の調査は、調査会社のレポートだけで十分なのでしょうか。

日経テレコンに興信所、そして定点チェック

現職は取引先登録にかかわっていないので詳しく知らないのですが(それも問題…)、前職では、調査会社のレポートに加えて、日経テレコンで記事検索したり、反社チェックを業者さんにお願いしたりもしていました。郊外にも店舗を持っていたので、個人の貸主も多く、そのときは興信所を使うことも。

加えて、年に数回は日経テレコンで不穏な記事がないかをチェックするという結構手間のかかる作業もありました。そして、新規取引先登録申請書は、あいうえお順に整理の上、総務で保管されていました。今思えば、かなり念入り・丁寧にチェックしていたなぁと思うのですが、おかげさまで、特段トラブルはありませんでしたし、未然に反社との取引を防げたこともあります。

「紹介」が怖い

前職は、社長がご自分の不得手なところは部下にしっかり任せてくださる方でしたので、知り合った経緯を問わず、基本的には平等に新規取引先登録のフローを踏んでいました。しかし、社長のこのスタイルは珍しいことだと今ならわかります。

上場企業の役員ともなれば、いろんな方々が寄ってきますが、役員の紹介で取引を開始する場合、調査が行き届かないようです。トラブルが起きたときによくよく話を聞いてみると、あまり親しくない方の紹介で詳しい素性は分からないということも。心の中から「チーン」と鐘の音が聞こえます。。

おまけ:海外のパートナーは?

しっかり新規取引先調査を行っていた前職ですが、海外パートナーの場合はそれほど簡単ではありません。信用調査は、ダンレポートを取るのがやっとのことが多かったです(そして、正直、私たちが期待する水準ではない。)。では、どうやってリスクヘッジをしていたか。

今思えばの話ですが、当時の海外進出は、某商社のサポートにより行われていました。つまり、パートナー候補は商社が見つけてきた方。「日本を代表する商社のご紹介」ということで、信用調査の省略を是としていたのかもしれません。