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大阪で働く法務パーソンのはなし

PDFファイルの契約書がきたら

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在宅勤務中、メンバーから「契約書見たのでチェックお願いします」とメールが届きました。
普段はプリントアウトして手書きで修正したものをバックして、メンバーにフィードバックをするのが私のスタイルなのですが(自分の手で修正しなければ身につかないという私の信念による。メンバーはうざいかも。。)、プリントアウトできない状況では、やむなく直接直してフィードバックしています。

ここで、久々に苦痛を感じてしまいました。。

PDFファイルの契約書はいい迷惑

契約書が他社さんの書式の場合、「変更は受け付けない」という意思表示なのか、PDFファイルでしかご提供いただけないことがあります。
正直、多くは大したことのない契約のはずで、そこまで強硬なら、もうそのまま結んでしまえば?(+そんなお相手とお取引しないといけないか、よく考えたまえ)と思わなくもないのですが、真面目な事業部は「リスクがないか見てほしい」というので、一応ちゃんと検討し、修正の提案をします。法務パーソンであればどなたでもそうなさるはず。

しかし、その方法が問題です。Wordで見るときと比べて、面倒かつ生産性のない作業が増えます。なぜ、PDFファイルでしかご提供くださらないのでしょうねぇ。

PDFファイルの契約書のレビュー結果をどうフィードバックする?

契約書をレビューするときは、通常は、Wordに変更履歴やコメントの機能を使って、どこをどう直したのか、確認してほしいポイントなどを伝えています。普通ですよね。
時々「修正履歴の反映の仕方がわからない」と電話をかけてくる人もいますし、変更履歴が嫌いな人もいますが、「どこをどう直したか」を見ないとか、見てわかるものまで全部説明させるとか、法務的には受け入れがたいので、この方法を貫いています。

しかし、PDFファイルの契約書の場合、変更履歴が使えません。「どこをどう直すべきか」「注意してほしい条文」などをどのように伝えたらいいか。

我が社では、以下のいずれかの方法で対応しています。「これ、Wordでもらえたら一切不要な作業なんですけど!」と叫びたい。

  1. Wordに書き起こす
  2. 比較表をつくる

Wordに書き起こす

ひとつは、いっそ、Wordに書き起こしてしまいます。長い契約書だとげっそりしますし、レイアウトも完全再現は難しいですが、どうせ変更履歴を使うので、レイアウトは大して意味がないと開き直り、とりあえず我が社流に書き起こします。

「おたくがWordでくれないからこちらでやりました」と、大変嫌味な行為に見えると思うので、よほど大幅に直したいときでない限り、使用は控えていますが、現実は結構頻度が高いかもしれません。笑

比較表をつくる

PDFファイルで契約書を受け取ると、「交渉の余地なし」というメッセージと理解するので、基本的には大幅な修正は提案しないことにしています(たとえば、合意管轄は東京ならスルーとか)。

そのような修正提案が少ないときには、Excelで左に原案と右に修正案を並べてコメントを書くという比較表を作ります。Excelにも変更履歴の機能はありますが、視認性に欠けますし、一定程度Excelリテラシーがないと使えないので、修正案を作るときには、取消線と色を駆使します。これが本当に面倒くさい。生産性なさすぎる。。

在宅勤務時、メンバーの修正に手を入れようといじっていたら、体感では、手書きの5倍、Wordの10倍時間がかかった気がします。普段、メンバーにこんなことをさせているのかと思ったら、心が痛くなりました。絶対やめよう。せめて、Wordで表をつくろう。

PDFでなくWordでください

このように、PDFファイル(いきなり原本送付してくるものを含む)で契約書をご提供いただくと、法務はかなり憂鬱な作業に時間をとられることになります。
ぜひ、契約書はWordでご提供を。

といいつつ、我が社もExcelでご提案しているかもしれない。。