「マイクロマネジメント」はすごく悪いニュアンスで使われますが、私は自分はかなりマイクロマネジメントしてると思っています。
といっても、電話に出なかったら怒るとか、カメラを繋いだ状態で仕事させるとかではなく、メンバーの仕事ぶりをかなり細かく見ている(つもり)という意味です。
やっぱり嫌な上司かもしれない…
メンバーの成果物に全部目を通す
他社の法務の方とお話をしていると、「依頼への対応は原則担当者が一人きりで行う」というところが結構多いことに驚きます。
それだと確かに、法務は即戦力採用しかできないだろうし、自社で法務人材を育成するのは難しそう。
私は、最初の仕事が弁護士の裏方で、議事録とか外部に提出する書類作成が多く誤字脱字厳禁だったこともあってか、自分が作った成果物がノーチェックで外に出ていくことはなかったので*1、「ダブルチェックなしに依頼者に返す」なんて想像もできません。
そんなわけで、私のチームでは必ずダブルチェックはするし、今のところどんな小さい案件でも正規の依頼は私が最終確認をしてから返してもらっています(つまりトリプルチェック)。以前は、入口管理(案件振り分け)も私がやっていましたが、それではいかんと反省し、「振り分け担当」にお願いしています。
今のところ、このやり方がベストだと思っている理由は、
- それで回せる(依頼数が年間1,000件もないので)
- クレームに私が対応できる*2
- 管理者が自分しかいない
- 独り立ちしている人が少ない
- 品質向上のためには物理的距離(他人の目)が必要
- 私が一人ひとりの特徴や今のスキル、変化を直接見ることができる
- 主担当が不在でも対応できる
といったこと。このやり方で回せて、メンバーが安心して仕事に励めるのが大きいです。
管理者としての強みは「自部署の仕事がわかる」こと
「管理職・部門長昇進と同時に法務部門をもつことになった」という方は今でも結構いらっしゃって、現に私のボスも私のことを「六法が頭に入っている」と思っているくらいの門外漢です。
「管理者がその部門の仕事をつぶさに知っているべきか」については賛否があって畑違いでも優れた管理者はいらっしゃるでしょうけれども、私自身は、管理者としての自分の強みはそこにあると思っています。
ある仕事をするのに
- どれくらいの時間がかかるか
- どの程度のスキルや経験がいるか
- それが身につくまでにどんなことをしたらいいか
- 適切な裏付けや論理性があるか
がある程度わかるから、誰に何を任せるのがいいか、部門の現在地や取り組むべき課題といったものも、それほど的外れにはならないはず…
メンバーに有資格者がたくさんいたり、法務の経験豊富な管理職がいらっしゃるようなところなら、そういった方々としっかり対話すればいいのかもしれないけど、現場・現物主義の私としては、個々人の仕事ぶりを直接みないと評価しきれないという不安もあります。
弊害と隣り合わせ
私のチームでは、【主担当→(ダブルチェッカー→)私】というプロセスを経るわけですが、このやり方は、人によっては主体性を失うかもしれません。
「誰かがよしなに直してくれるから、適当に片付けてしまおう」
「どこから着手すればいいか、とりあえず聞こう」
みたいな人が生まれてしまうリスクは常にあります。
今、そういうことが顕在化していないのは、先輩メンバーが「自分(主担当)がやる」ムードを作ってくれているからだと思います。
以前は、「はい、出直し〜ここ、もう一回確認してみよう」と私も簡単に言えたのですが(もうちょっと優しく言ってるつもり…)、増員やテレワークの導入などで全員とそういうコミュニケーションをとるのが難しく、私がWord上で赤入れして返してしまうことが多くなってしまいました。
いくら本人が主体的に取り組んでいるつもりでも、答え(のようなもの)を見せられては、考え直す機会を奪っていると反省しています。これは改善が必要。
いつかは変えなくてはならない…が
今は、今のやり方がいいと思っているのですが、依頼数が増えたり、管理職が誕生したりすれば変えていかないといけません。
仮にそうなった場合でも、「このメンバーはここまでできるんだな」「このメンバーはこんなふうに依頼者とコミュニケーションをとるのか」ということを知るために出口管理(最終確認)は自分でしたいというのが本音です。しかし、「法務部長が全部チェックする」という企業はほとんど聞かないし、「そんな部長の下にいる管理職の存在意義は?」となってしまう。
世の法務部長さんは、普段は何をされているんでしょうか…