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大阪で働く法務パーソンのはなし

グループガバナンスの強化(法務編)

過去に記事で触れたとおり、経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システム研究会第2期では、「グループガバナンスの在り方」を検討されていて、その実務指針案が公表されています。(余談ですが、この研究会のメンバーの豪華さには圧倒されます。ちゃんとみんな出席できているのか…)

そんなことを知ってか知らずか、今期の課題としてボスから出されているのが、「当グループの法務の連携体制を考えよ」です。

グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(仮)と国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書

すでに過去記事で書いたとおり、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針では、法務が担う第2線のディフェンスについては、「管理部門が事業部門から実質的に独立した立場にあることが重要であり、管理部門と事業部門との間でレポートラインや人事評価権者などをできる限り分離し、それぞれのラインを親子間で「タテ串」を通すことにより、事業部門からの不当な影響を排除し、健全な牽制機能を発揮できるようにすることを検討するべきである」と、親子間で複数のレポートラインを持つことを推奨しています。

また、2018年に公表された国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書では、法務機能強化のために求められる取組みとして、「専門性を持ったリーガルアドバイスが適切に経営層・事業部門に伝わるように、法務部門のレポートラインを「機能軸」「事業軸」の複数の系統にするなどの整備」が挙げられています。

というわけで、国が考えているベストプラクティスは、「法務はその企業集団で独自のレポートラインを持て」ということだと思います。

TOBEは見えたが「独自のレポートライン」はどう作る?

あるべき姿(TOBE)は、国がすでに示してくれ、確かに理想形だと思います。よって、各社に法務部門を置くか、せめて法務担当者を置き、親会社と定期的に又は随時連絡を取り合って、情報やツールを共有し、相談体制を整えるという青写真はすんなり描けました。

しかし、現状(ASIS)はどうかというと、当社グループにある複数の事業ドメインのうち、法務部門・法務担当者がいるのは1つのドメインだけ。そこが最終親会社の法務も兼務しているという状態。このギャップの大きさ…

第一歩はヒアリングから。最終目標は人事交流。

私が思い描いているステップは、次のようなものです。

  1. まずとにかく、各ドメインで誰かを選んでもらう。
  2. 私たちがその誰かや管理部門長にヒアリングをして実態を掴み、何か共通項や力になれることを見出す。
  3. ドメインで定期的に顔合わせをする ←ここまでで相談体制(レポートライン)を整えたことにする
  4. 法改正情報や契約書の雛形などを共有する(親会社から提供)
  5. 親会社へインターン/出向 ←名実共に「法務担当者」が各ドメインに誕生する
  6. グループ間で人材交流 ←独自のレポートラインが機能するはず

売上規模の小さな会社では法務がいないほうが普通なので、売上規模によっては法務担当を置くことを免除してもよいかなと思うのですが、現在、いずれのドメインも100億円以上の売上があるので、さすがにないかなと考えています。笑

実際には、どれくらいから法務担当を置くのでしょうね。

 

通常のレポートラインとは別の、安心して使えるレポートラインがあれば防げたかもしれない苦い思い出が私にはあります。その思い出を糧に、誰もが快適に、かつ、誇りを持って働ける職場を作りたいし、その責任が法務にだってあると信じています。