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大阪で働く法務パーソンのはなし

Office365を使いこなす

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我が社では、グループウェアはOffice365を使用しています。

Office365にはOutlookや予定表の共有以外にも様々なアプリケーションがあり、プロジェクト管理を容易にしたり、紙資料の削減に貢献したりすることができるのに、これまではあまり積極的に使ってきませんでした。しかし、(PCがWin10にアップグレードされたというというきっかけもあって)それでは時代の流れに乗れてないので、法務業務でも活用可能なものがないか考えてみました。すでに多くの方が実践されているとは思いますが…

Teamsでペーパーレス会議&プロジェクト管理

少し前のニュースで、来年からついに裁判所でもTeamsが導入されると聞き、Teamsはそこまで広がったアプリケーションなのだと驚いた次第。

Teamsは、Microsoftの「チャットアプリ」と説明されますが、私は「チャット」という印象はあまり持っておらず、ビデオ会議やファイル共有、プロジェクト管理ができるツールという認識を持っています。

たとえば、「Teamsで会議に参加」すれば、ビデオ会議をすることができます(PCにカメラが内蔵されている場合)。また、カメラに代えて、ある一人のPCの画面をメンバーが各自のPCで閲覧することができ、プロジェクタが不要です。

また、Teamsでは、任意の「チーム」を作ることができ、特定の人たちだけが閲覧可能なスレッドのようなものを立ち上げ、ここでチャットに近い会話をしたり、ファイルを共有したりとプロジェクト管理をすることが可能です。チーム内で共有されたファイルを複数人で編集できるので、とても便利です。

PlannerとTeamsでタスクの割当て&進捗管理まで

さらにOffice365には、Plannerというタスク管理アプリがあり、Teamsと連携させること(Teams内で管理すること)が可能です。

「××」というタスクを誰に、いつまでの期限で割り当てるか、進捗はどうなっているか、ということを見える化することができ、まさにプロジェクト管理をクラウド上で実行できるというわけです。

法務業務でどう使う?

TeamsやPlannerは、これまでExcelなどで作っていたタスクや課題の管理表などを(やや簡略化する引き換えに)クラウド上で管理することを可能にし、メールで行っていた情報やファイルの共有をなくしてくれ、情報やナレッジの共有を効率的にしてくれるとても便利なツールです。では、法務業務ではどのように活用することができるでしょうか。

正直なところ、「ものすごく業務が効率化される!」というほどではないように感じています。その理由は、まず、いちいちチームを作るほどの案件はそうないということがあります。私たちは、年間何百件もの契約書審査依頼や相談をお受けしますが、通常は数回のラリーで完結するので、各案件ごとにチームを作る必要性はありません。

また、Teamsのよさは、指定した人だけが情報を共有できるプライベートスペースを作れることにありますが、法務の対応記録は、法務部門全体の貴重な財産であり、属人的な、あるいは短期間の保有はなじみません。したがって、法務部門の人間であれば、10年前の案件でもアクセスできるような環境を整備しておくのが望ましく、Teamsだとちょっと合いません。情報管理の観点から、法務部門を離れた人のアクセス権は切らないといけないので、いちいち立ち上げたチームから削除するのもちょっと面倒です(バイネームでないメンバー指定の仕方があるかもしれませんが…)。

以上のように、数回のラリーで終わるような通常の法務業務、機密性の高い事案ではあまり活用の余地はなさそうなのですが、以下のようなところでは使えるのではないかと思っています。

  • 特許出願
  • 中期的なタスク(例:民法改正対応)
  • 年間計画の進捗管理

まず、特許出願。業種などにもよると思いますが、我が社の場合、出願数は年に数件程度で、出願公開も審査請求もほとんどはギリギリで行いますので、権利化までに5年近くかかることもあります。拒絶理由通知が来るころには、メインの担当者が変わっていたり、「何の出願だったかな?」と思うこともあるほど。また、必ず他部門(開発チーム)との協働なので、法務の共有フォルダに保存した上、メールで共有という作業があります。Teamsなら、先行技術調査からの情報を一か所で共有できて便利そうです。

次に、中長期的なタスク管理。今なら、民法改正なんかがいいのではと思います。チェックリストを作るとか、ひな形を見直すとか、色々やることはあるけれど、今日明日のものではない、そんなものを見える化するのにはよいのではないでしょうか。

年間計画の進捗管理も同じで、つまり、オフィスワーク的な業務を見える化するということに使えるのではないかと思います。

 

もっと使いこなせるように、これからも使い方を開拓したいのですが、みなさんはどこで使い方を研究されるのでしょうか。