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大阪で働く法務パーソンのはなし

法務とWordスキル

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法務に新メンバーが入り、OJTを行っているところですが、「法務に配属されたての方あるある」が「Wordに明るくない」ということです。今回も例にもれませんでした。

法務に必須のWordスキル

法務の最重要業務のひとつは、契約書をはじめとする文書作成です。

そして現代、ビジネスシーンでは文書作成にあたっては通常Wordを使うので、Wordを使いこなすことは法務パーソンにとって重要なスキルであり、以下の機能は使えてほしいです。

  • 変更履歴
  • ユーザー名・作成者の変更
  • 改ページ
  • セクション変更
  • インデント
  • タブ
  • 表作成(表タイトルの印刷設定含む)
  • 目次作成
  • ヘッダー&フッター(ページ挿入)
  • 書式コピー
  • 文書比較

まずは変更履歴

ビジネスパーソンがもっとも多用するオフィスソフトは、ExcelPowerPointのようでして、Wordを日常的に使用する人は少数派です。が、文書作成には文書作成ソフトであるWordが一番。その理由の半分くらいは、変更履歴機能にあるのではないでしょうか。

たとえば、契約書はWordで作成するのがビジネスマナーといえると思うのですが、その理由は、契約書が当事者間で数度のラリーを繰り返して完成されるものであるところ、Wordは【誰がどこをどう修正したか】を簡単に可視化できるからです(「いつ」も特定できますが、一覧性には欠けますよね。)。

使い慣れない方は、わざわざ取消線を使ったり、変更部分を赤字にしたりされますが、漏れが発生する可能性もありますし、最終版にするときに修正が面倒です。

変更履歴機能を用いれば、そういった煩わしさは一発解決なので、法務に従事していなくてもぜひ使えてほしい機能です。

ユーザー名をチームで統一する

マイクロソフトのオフィスソフトには「ユーザー」というものがあって、我が社ではOffice365のアカウント名(=個人名)がデフォルトで登録されています。そうすると、変更履歴やコメント機能を使った場合に、変更者やコメント者、文書作成者が個人名で表示されてしまい、外部に出て行くのは不適切ですし、法務の複数人が作業した場合にその複数人がそれぞれどこをどう触ったかが無駄に明らかにされ、あまり美しいものではありません。

そこで、我が法務部門では、ユーザー名は社名略称(アルファベット)に統一しています。そうすると、同一人物と認識されるようでして、チームのどのメンバーが作業しても、見た目は同一人が作業したように見え、社内クライアントを含め、対外的に見栄えがよいです。

他社さんには、営業担当者と法務担当者の修正やコメントが色違いで残っていたりすることがありますが、私のポリシーには合いません。職権濫用でチームメンバーにもポリシーを強制しています。ちなみに、このスタイルは、最初に勤務した法律事務所時代に教育されました。

文書の体裁を整えるスキルも

そのほか、チーム外の方のWord文書を見ていると(編集記号を表示するというのも基本的なWordスキルとして推奨されます。)改ページやインデント機能を使えていなくて、文字を追加したり削除したりすると文頭が大きくずれてしまうということもよくあります。

私としては、そこでいちいち文頭を修正するよりも、インデントを決めて書式コピーを繰り返したり、改ページを挿入したりするほうが時短だし美しい文書になると思うのですけれども。。

ExcelPowerPointと同じ要領でWordを使うのではなく、WordはWordのスキルを身に付けてほしい。新人にもGoogle先生に習うように伝えましたが、作成した文書を細かく見て当面は指導していくつもりです。

Wordを超えるツールは現れるのか

とはいえ、こちらがWordを駆使して作成しても、「変更履歴の反映の仕方がわからないから使わないで」といった要請を受けることもあるくらい、Wordのスキルはマイナーのようです。

契約書作成場面でのコミュニケーションツールに、Wordを超える新星は現れるでしょうか。