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大阪で働く法務パーソンのはなし

役員のリスク感度

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先日、当社グループの役員向けにアンケートを実施しました。

主たる質問は、「最近、当社グループでリスクが増していると思うものはどれですか?」です。少し意外な回答結果で、法務・コンプライアンス部門としてはどう活かせばよいのか戸惑いを覚えています。

増していると感じるリスクのトップは長時間労働

「当社グループでリスクが増している」と感じるトップ3は、次のとおりでした。

  1. 長時間労働
  2. 情報漏洩
  3. ハラスメント

選択率は、長時間労働が5割、情報漏洩が4割、ハラスメントが2割程度。

法務・コンプライアンス部門として、リスクが増していると感じているものには、公取委が力を入れる「カルテル・談合」や、グローバル展開する上で対応の難しい「贈賄」などがあるのですが、選択した役員はひとりもいませんでした。また、我が社にはグループ全体で数千人の従業員がいますが、彼らによる「個人的な犯罪」を選んだ役員もいませんでした。

ギャップはどこにあるのか?

前述のとおり、世間の相場と役員の認識にはギャップがあるように感じます。

その原因は、役員の勉強不足?いえ、私たちの発信不足なのだと思います。もちろん、言葉では伝えますし、具体的事例もお伝えしますが、「我が社でも起きるかもしれない」という危機感を呼び起こすにはまだまだ力不足なのでしょう。

さらに首をかしげるのは、もっとも「リスクが増している」と感じるのは「長時間労働」という結果。我が社では、毎月時間外労働についてモニタリングを行い、時間外労働の多い部署にはアラートを出したり、個別に協力依頼をしたりして働きかけを行なっています。そもそも、問題視すべきケースがないとは言わないけれど、長時間労働は少なく、今現在もっとも高いリスクか?と言われると首をかしげたくなります。「働き方改革」が声高に叫ばれているので選択した、ということかもしれませんが。。

では、我が社において、コンプライアンスで何が一番の弱点かというと、それは「意識の弱さ」ではないかと思うのです。たとえば、大ごとには至らないけれど、厳密に言えばハラスメントにあたるような事例は頻繁に見聞きします。

現場を知るべし

グループ会社管理の話題でも指摘されることですが、やはり、経営陣にはもっと現場を知っていただかなくてはなりません。そうすることで、当社グループでのリスクの感度を磨いていただくのです。その努力は、私たち法務・コンプライアンス部門がしっかりやっていかなければならないな…と、反省しました。

そんなわけで、手始めに、内部通報件数や不祥事案を分析してみようと思います。

(やってなかったのか!)