今週は、我が社もお盆休み。
もともと外出の予定はありませんが、同調圧力に従い、じっとしている予定です。幸いなことに?読みたいと思っている報告書やら書籍やらもたまっていますし。
今週は、最近読んだ本から得た学びについて書く予定で、今日は、こちらの書籍です。
2013年の書籍が2020年の解説付きで文庫化
この本は、ベースキャンプというアメリカのソフトウェア開発企業の経営者2名が2013年に著した書籍の日本語版(2014年刊行)をさらに改題・文庫化したもので、2020年のコロナ禍で解説が書かれています(解説は、株式会社&Co.の横川崇代表取締役)。
原文でも読めそうな軽いタッチの文章で(翻訳の妙技でしょうが…)、挿絵も豊富なため、サクッと読めてしまう本。
しかし、経営者が書かれているということもあって、学びの多い本でした。恥ずかしながら知らなかったけれど、本書はリモートワークのバイブルとして世界中で親しまれているそうです。私も一つのチームのリーダーとして、ある日突然やってきた在宅勤務を歓迎しつつも、悩みや不安を抱えており、たくさんの発見やアイデアをいただきました。
リモートのコラボレーション術
本書では、リモートワークについて、自社(ベースキャンプ)での実例や他社事例などを紹介し、著者らが考えるベストプラクティスを教えてくれたりもします。
在宅勤務が導入されて、私がもっとも戸惑っていることは、チームでコミュニケーションをとる時間が明らかに減っていて、それによる弊害が起きていないか、時間が減った分を補う方法はないかということでした。この不安について、本書はいくつかのアイデアを教えてくれるのですが、その一例は次のようなものです。
- コアタイムを決める
1日最低4時間あったほうがいいとのこと。当社はフレックスのコアタイムがちょうど4時間です。 - 同じ画面を見つめる
ビデオ会議で相手を顔を見るのではなく、同じファイルを編集したりできることが重要だといいます。これもTeamsのおかげで実行可能。 - 情報を閉じ込めない
グループウェアのサイボウズが「透明な企業」というのと同じですね。ツールで9割解決できるとありました(あと1割は気持ち)。 - バーチャルな雑談の場を作る
当社にはこれがないのです。リモートワークを取り入れた大企業が、こういう取り組みをやっているというニュースは時々見かけるけれど。やはりあった方がいいんだな…と改めて知りました。
リモートワークの落とし穴
リモートワークになって私が喜んだことは、集中して作業ができるようになったことでした。しかし、一歩間違えるとこれは危険だと繰り返し警告されています。「完全な孤独は、人を狂わせる」と。バーチャルで交流している気になってしまうけれど、知らない人とでもいいからリアルな交流を持つ機会を作ったほうがいいらしい。
うちのチームのメンバーは、一人暮らしが多いので、リモートワーク中は誰とも顔を合わせないことも珍しくないはず。第二波ともいわれる今、週に数回出社する必要性があるのか?という気もしていますが、彼らのメンタルを正常に保つためには必要なことと前向きに捉えます。
また、リモートワークを始めるなら、1人や2人からのスタートではダメで、チーム全体で取り組む必要がある(「島流しにしない」)という指摘もありました。我が社でも、一部在宅勤務を導入していましたが、拡大できていなかった理由はまさにここにあると思います。コロナ禍のために、チームどころか会社ぐるみで一気にスイッチできたことは、働き方を変える大きな転換点でしたね。
リモート時代の人材採用
この書籍の中で、最も紹介したいパートのひとつは、人材採用について。あらゆる採用担当者に読んで欲しいし、法務パーソンは自信を持てばいいと思いました。
どういうことが書いてあったかというと・・・
- 人柄が大事
リモートだからこそ良質なコミュニケーションが不可欠であり、「いやなやつは、雇わない」ことが大切とのこと。なるほど、テキストでのコミュニケーションは誤解を生む可能性が格段に上がりますからね。 - なぞなぞで仕事の質は測れない
架空の問題を解く能力や適性検査は、候補者の資質を映し出すツールに過ぎないと指摘されています。リアルな仕事をやらせて、成果を見るべきだと。
ある企業は、法務のキャリア採用において、インターネットに接続されていないPCを与えて、秘密保持契約をレビューさせるそうです。私がそういう採用をさせてもらえるなら、インターネットに接続されたPCを与えるし、依頼者役を配置しますけどね… - 文章力のある人を雇う
「リモートワークには、文章力が欠かせない」ので、「候補者の文章力を判断基準に入れたほうがいい」と明確に記載されています。履歴書や職務経歴書は盛られているから、カバーレターを重視せよという具体的アドバイスまで(日本ではなかなか書く機会ないけれど)。ここまで意識のあるCEOって、日本にどれくらいいるのだろう…
法務パーソンの同志のみなさん、私たちは新しい時代でもとても価値のある人間になれそうです。
ほかにも、リモート時代のマネジメントなど、どちらかというと管理者向けのtipsがたくさんこの書籍には書かれています。
私は、「文章力のある人を雇う」べしとあったのがとてもうれしく、しかもそれは、ある程度は訓練でどうにかなるということも書いてあって、完全同意。これからも、チームのメンバーには、相手の立場に立ち、正しく・分かりやすく・読みやすい文章を書くことを正々堂々求めていきたいと思いました。