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大阪で働く法務パーソンのはなし

ワークフローを入れ替える

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法務の仕事ではありませんが、社内のワークフローシステムを入れ替えるプロジェクトに参加しています。
「DXで業務を効率化してほしい」と声をあげたら、降ってきたのがこの仕事。ワークフローの一新は入社以来お願いしてきたので、ようやく叶うかも?ですが簡単ではありません。

ワークフロー(WF)とは?

そもそも、ワークフロー(WF)とは何でしょうか。
Wikipediaには「リソースを体系的に組織化した反復可能な業務活動のパターン」と説明されていますが、わかったような、わからないような…

私は、「承認を得るプロセスを定型化して正確に記録するもの」という感覚で捉えています。
簡単な経費精算の申請・承認なら管理職のハンコで済ませるところもあります(=当社)。しかし、誰が何を申請・承認するのかをあらかじめ決めておき、その記録を正確に行わなければ効率的に業務が進められず、それを実装するのがWFだと。これは、上から見れば内部統制にもなります。

現状:紙をベースにした電子化、パッチワーク以下のつぎはぎ

では、私が変えてほしいと長年懇願している自社のWFはどうなっているかというと、以下のような感じです。パッチワークみたいですが、美しく接合されていません。でも、こんな会社も多いのではないでしょうか。

  • 稟議書→単体のシステム(紙の稟議書をただシステム上に置き換えただけのような使い勝手がイマイチのもの)
  • 支払→自社基幹システム
  • 経費精算→単体のシステム
  • 人事評価→単体のシステム
  • 身上届関係→紙又はエクセル など…バラバラ

ひとつの作業にひとつの独立したシステム(か帳票)があてられているような状態で、メールアカウントなどを含めると一般社員でも10以上のID・PWを管理しなければなりません。

全体としてツッコミどころはたくさんですが、今回のお題は、稟議書のWF。勤務先で使っているWFシステムの中で、多分ピカイチにUI・UXがよくありません。導入時のコンセプトが「紙の稟議書を置き換える」だったそうで、申請・承認したらいちいち印影がつきますし、やたら確認者も多い(そして、承認か確認かで印影の大きさも変わります…)。

数社のプレゼン・デモで気づく「細分化」

勤務先では、稟議書(押印申請的なものも含みます)のフォーマットはひとつしかありません。どんな申請をするにも同じフォーマットに記載します。よくいえば自由度が高く柔軟ですが、悪くいえば、そして自社が抱える問題は、「人によって記載がバラバラ」であり「知らなければ必要十分な内容を書けない」ことです。

新しいWFでは、「人によってバラバラ」「知らなければ書けない」を解決したいというのが現場サイドのプロジェクトメンバーの総意。

今回、複数のベンダーさんのご提案を聞きましたが、WFは極力細分化するのが「普通」なのですね。そして、必須の記載事項は記載しなければ前に進めないようにしたり、自由記載欄を極力減らしたりして統一化するのがスタンダードでした。自社はだいぶ異常のようです…
しかし、細分化を進めると、我が社では多分100を超えるフォーマットが必要なので、メンテナンスを考えると目が霞みます。それでいいのだろうか。

知りたがりと秘密主義

WFに特化した製品は、さすが日本の稟議システムをよく理解・研究されていて、ルートもアクセス権も複雑な設定が可能になっています。
総務部の一般社員が申請したら課長を通ってから部長にいく、部長は部内のすべての申請を閲覧できるけれど、一般社員は自分のした申請以外は見られない、というように。

しかし、それって本当に必要なのでしょうか。

部長決裁なら、課長は何のためにみているのか?
(下書き→)申請者→決裁者でいいんじゃないの?他の人は、同報でいいのでは?
そんなことしているから本来の決裁者はロクに吟味せずに承認してしまうのでは?
と沸々と苛立ちを覚えます(稟議が下りるのに1週間かかるもので…)。
紙の場合は、現物がひとつしかないので、それを持っている人でないと内容を知ることができませんが、デジタルだと「●●さんも入れておいて」ということが増えます。これは、メールでやたらCCが増えるのも同じ。

そうかと思えば、「この内容は管理職にしか見せたくない」ということが多すぎるのも厄介。そのせいで複雑なアクセス権設定が必要になります。先進的な企業だと、インサイダーやプライバシーに関わること以外はすべてオープンにしているといいますよね。管理コストやコミュニケーションコストをものすごく下げられて羨ましい。

ひとつのプラットフォームからどこにでもいけるように

稟議システムの「中」の不便さをつらつら書きましたが、稟議システムに行くのも面倒だというのは、冒頭書いたとおりです。稟議システムにアクセスするには、それ専用のID・PWが必要で、しかも3か月に1回の頻度で変えさせられます。
さらに、支払などそれぞれのシステムは独立しているので、データの連携も手作業が多く、ミスも生じて非効率の極み。

「ひとつの厳重な入り口から入れば、ID・PWなしで色々な扉を開けられる」「入力は1回だけ」というのは技術的に可能なはずなので、できるだけ実現していきたいですが、何年かかるでしょうか。